chihiro’s archive

重要記録を保存・活用し、未来に伝達することをアーカイブという。

120807JIA建築セミナー②

「演題未定」隈研吾[建築家、隈研吾建築都市設計事務所]

<概要>
演題:場所と力
■イントロダクション・3.11以降考えていること。
場所の力について。
工業化によって変わって来たと歴史はいうけれど、しかし災害によって建築は変わって来た。
と隈先生は語りだした。
○海外において
リスボンの大地震後に建設された近代都市。ビジョネールなど。
空想建築家ルドゥーの登場。地震から230年でルドゥーの建築は実現する。ユートピア思考やオスマンのパリ計画。
普遍的な力が都市計画にあると考えられていた。
シカゴの大火1871後に、シカゴ派の登場する。コンクリートによる堅固な建築の誕生。ニューヨークの摩天楼へとつながる。
レビットタウンなど画一的なアメリカの街が考えられ、実現した。
○日本において
関東大震災以降、コンクリートによる建築が普及した。
では3.11は何をもたらすか。コンクリートや鉄では太刀打ちできない。今までの建築の合理性の否定された。
⇒そこで選択肢は二つ。
(1)あきらめるか(2)場所を読むか。⇒地縁血縁があれば建築は薄くてよいという考え方がある。
このイントロダクションをもとに
■時系列順に自作を交えながら、作品とともに設計時に場所について考えていたことを紹介。
亀老山展望台⇒北上川運河交流館⇒ガラスボックス⇒馬頭美術館⇒ちょっ蔵広場⇒市民交流館
■最後に、3.11以降、十和田、新山などを手掛けているが、何処が社会的な場になるかは考えている。あとはシェアに興味がある。集合住宅がやってみたい。ポスト3.11の集合住宅。.陽光台の団地再生コンペ審査員になったので何か力添えをできればと考えていると隈先生は語り、当日誕生日であった隈先生を祝って交流会を行って会は終了。
<感想>
新社員時代に聞いた「キノコと建築」についての隈さんの講演会を思い出しました。篠原一男さんの「キノコと民家」を想像すると思いきや、粒子の話をされていた。場所場所にある粒に自分の建築を揃えることが重要だとおっしゃっていた。
粒を揃えることとは、寸法だったり、材料だったり、いろいろな要素。日本料理にはいろんな粒があるけど、中華料理の凄い所は粒が揃っていること。隈さんは建築の立つ場所の風景を細かく砕いて、粒子にし(ここでいう粒子は建築的な要素のこと)、建築に再構成しなおすのが、ものすごくうまいなと思いました。当初の建築は、建築的な操作で場所に隠したり、埋もれさせたりしていますが、後期の作品では、場所の要素をそぎ落として、洗練したエッセンスとして一つ加えるだけで、馬頭美術館やちょっ蔵広場など、主張していながらその場所にすっと収まるような建築になっており、ピーター・ズントーの語っていた「場所に埋もれる」ような建築を自分も目指しているので、とても勉強になりました。

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